わたしは本来人の上に立つような資質は持ち合わせていません。
職場のリーダーを任された最初の頃は、部下に取り人って毎日の仕事を頼むのが必至で、とてもマネジメントと呼べるような状態ではありませんでした。
特に「あの人ほ仕事をしていない。あの人は問題である。あなたはなぜ注意しないのか。」という苦情を毎日のように浴びていたわたしは、眠れない日々が続きました。
世の中、片方の人が一方的に悪いなどということは滅多にありません。
大抵長所と短所をあわせもっており、苦情を言っている本人も直すべきところが大いにあるのが普通です。
ですから苦情を真に受けて、欠点の修正の指導を始めれば、苦情の種火に油を注ぐことになります。
わたしが職場マネジメントのことを考えるようになったのはこうした状況を改善し、心安らかに夜が眠れるようになるためでした。
わたしには次の課題がありました。
①問題の現状を認識する
②まず自分の不安の原因を認識する
③相手がなぜ他人の欠点ばかり指摘するのかその動機を認識する
④具体的かつ効果的な指導の内容を整理する
⑤具体的な指導のための面談を行う
②について補足します。
自分の心の中ではすでに「他人に良く思われよう」という気持ちは整理されていました。
しかしこの問題でこじれて相手が仕事を放棄しだしたら、自分がその仕事を背負わなくてはならないということが怖いのだと気が付かされました。
一言で言えば面倒になるのが怖いということです。
このことを克服するために、もし相手が拒否の姿勢を貫いたとしても対応できるよう、職場の体制変更案をいくつも考えました。外部から人を人れなくても自分の裁量の中で対応できる案を考えるのです。(このことを通して、場合によっては自分がその部下の仕事を引き受けるという覚悟が生まれます。これまでに数十種類の体制案を考えましたから、対応力が上がり自分の心が落ち着きました。)
続いてもう一方の考え方を展開します。
相手と信頼関係を持つにはどうしたら良いかということです。
相手に依存しない態度を貫きつつ、本当に相手に必要な言葉を祈りつつ選び、率直に一対一で伝えるのです。
次に③について補足します。
まず自分の心を整理してから、相手がなぜ他人を批判してばかりいるのか考えます。
他人を批判する人は、自分が批判されることをいつも恐れています。
ここでもキーワードは恐怖心と劣等感です。
相手が恐怖・劣等感に思っていることは何かを観察します。
そうすると例えば人間関係がうまくいかないこと、仕事で認められないこと、私生活で困難に陥っていることなどが浮かび上がります。
そのうえで最も大事な本人の課題を見つけ出すのです。
これらを踏まえて面談をしても、改善効果がすぐに目に現れないことがあります。
しかし職場リーダーが主体的にその問題の解決に当たるという姿勢を持っことは、それまでの不用意な他人への批判を抑制する力になるでしよう。
それからお互いの本音を語り合うということで、事態が目に見えて変わらなくとも、信頼関係が結ばれるということがあります。(そこが狙いなのですが。)
大切なのは事象の本質を捉えることと、相手の心の的を得ることです。
次回はやる気が出ない人のことを考えてみましよう。
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